Loach

ホトケドジョウを守りたい。

1年間でどのくらいの種が絶滅しているかご存じですか?
恐竜がいた時代には1000年に1種と考えられていた絶滅スピード。100年前には1年間に1種だったものが、なんと現在では1年間に4万種もの種が絶滅しているといわれています。これは1日に約100種という多さです。

日本でも、絶滅の危機に瀕している種がたくさんいます。今からご紹介するホトケドジョウもその一種です。

アトアでは、本種の保全活動を行っております。
このページでは、ホトケドジョウとアトアの取り組みについて紹介します。

ホトケドジョウの写真

ホトケドジョウって
どんな生きもの?

ホトケドジョウは、日本固有の冷水性のドジョウの仲間です。
全長は約6㎝。口ひげが4対8本、体全体に小さい暗色点があり、太短い体が特徴。

赤色の吹き出しを押すと詳細を見られます

ホトケドジョウを取り巻く現状

個体数が減少

青森県を除く東北地方から兵庫県までに分布しています。兵庫県では丹波市のみに生息しています。本種の生息域は丹波市の加古川水系が最も西側に位置し、生物学的にも貴重な個体群です。各地でさまざまな呼び名があり、かつて兵庫県の氷上地方では「うじゃうじゃいる」を意味する方言で「アタマイタ」と呼ばれていたホトケドジョウ。今では全国的に生息数が減っており、絶滅の危機に瀕しています。

個体数減少の原因

圃場(水田や畑など農作物を育てるところ)整備や、水路整備などにより、生息地が破壊され、局所的な個体群が絶滅するなどにより、個体数が減少しています。環境省レッドリストでは絶滅危惧ⅠB類(EN)、兵庫県版レッドデータブックではAランクに指定されており、絶滅の危機に瀕しています。

ホトケドジョウのカテゴリー

  • 環境省レッドリスト 絶滅危惧ⅠB類(EN)

    絶滅危惧ⅠAほどではないが近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの

  • 兵庫県版レッドデータブック Aランク

    環境省レッドデータブックの絶滅危惧Ⅰ類に相当。兵庫県において絶滅の危機に瀕している種など、緊急の保全対策、厳重な保全対策の必要な種。

アトアでの取り組み

アトアでは、ホトケドジョウを守るべく、保全活動に取り組んでいます。
保全には、生息域内保全と生息域外保全の2種類があげられます。

「現地の生息地」

生息域内保全

生息域内保全とは、保全対象とする種や個体群を、その本来の生息地で、必要な環境要素やその規模を確保することで、保全し、絶滅を避けようとする考え方です。「丹波地域のホトケドジョウを守る会」では、本種の生息地を保護する活動(生息域内保全)を月に1回の頻度で実施しており、アトアでは、その活動を協同で実施しています。

「屋上繁殖水槽」

生息域外保全

生息域外保全とは、本来の生息地では存続できない生物の種、あるいは個体群(遺伝的なグループ)など生物多様性の構成要素を、動物園・植物園などの自然の生息地の外において人工増殖を図り、本来の生息地を再生したうえで野生回復を図ろうとする方法です。アトアでは、生息地での個体群の絶滅のリスクを回避するために、バックヤードでの飼育と繁殖に取り組み、生息域外保全を推進しています。

「展示水槽」

普及啓発

ホトケドジョウの展示を通して、現地の生息地の環境を再現し、普及啓発にも取り組んでいます。

ホトケドジョウを守る会

2006年に愛嬌あるホトケドジョウの姿に惚れ込んだ有志が集まって「丹波地域のホトケドジョウを守る会」を設立し、ホトケドジョウについて様々な調査や保護、啓発活動を積極的に展開しています。
自然環境保護活動として顕著な功績が認められ、令和6年度「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰を受賞しています。