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カピバラ

カピバラの「カピキラー」について

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みなさんこんにちは。

すでに公式ホームページでもお伝えしましたが、6月8日にカピバラの「カピキラー」が、死亡しました。これまでカピキラーを見守り、気にかけてくださった皆様に心より感謝申し上げます。いつも温かい応援をいただき、ありがとうございます。

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カピキラー

カピキラーがバックヤードに移動し、何のご報告もできず、突然のお知らせとなり、驚かれた方も多いかと思います。このブログでは、公式のお知らせではお伝えきられなかった、バックヤードでのカピキラーの日々をお伝えさせていただきます。

バックヤード飼育となった経緯

 カピキラーは、20244月に、体調に異変が見られ、検査の結果、子宮疾患の疑いがあることが分かり、麻酔下での治療を実施しました。術後はバッククヤードへ移動し、管理を行いながら療養を続けていました。体調を崩してから、苦労することもありましたが、薬が入った餌をぺろりと食べてくれることも多く、カピキラーはいつも懸命に治療に応えてくれていました。無事に体調が回復した後は、再び展示にいる他2頭との合流を目指し、準備を進めました。

合流にむけて

 カピバラは群れで暮らす動物で、強い縄張り意識を持っています。一度群れから離れると、再び群れに受け入れてもらうことが難しい動物でもあります。一見、穏やかそうにも見えますが、意外ですよね。合流に向けて、慎重に段階を踏みつつ、取り組みましたが、距離を縮めていく中で、他個体からの攻撃を受けてしまい、怪我の治療のため、再びバックヤードでの管理に戻さざるを得なくなりました。怪我が完治してからも、同居再開に向け、「どうやったら3頭でまた一緒に過ごせるかな」と、試行錯誤を重ねましたが、残念ながら、警戒や威嚇が解けることはありませんでした。話し合いを何度も重ね、これ以上の同居に向けての取り組みは、命に関わるリスクが高く難しいと判断し、カピキラーが安心して怪我なく過ごせる方法を選択することにしました。

バックヤードでの様子

 健康チェックや治療など、できるだけカピキラーに負担がかからないように行うためにも、トレーニングは欠かせません。カピキラーは私にとって初めてのトレーニングパートナーでもありました。「ターゲットを使って体重測定をする」では、先輩だとうまくいくのに、私がやると離れてしまうこともありました。カピキラーは、私の動きやターゲットを出すタイミングの違いをよく見ていて、「なんかいつもと違うな」と感じていたんだと思います。アドバイスをもらいつつ、カピキラーが安心してトレーニングを行えるように、取り組んでいきました。

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ターゲットを用いた体重測定のトレーニング中

 カピキラーは、餌を食べた後、飼育員のそばへやってきてくれることがあり、体を撫でると気持ちよさそうに、全身の毛をふわっと逆立てることがありました。特にあごの下を撫でられるのが好きで「そんなに上向く?!」というくらい、ぴーんと顔を上げてくれることもありました。しばらく撫でたあと、手を止めると物足りなさそうに、ぐいぐいと接近してきて、もっと触ってほしいとアピールしているのかなと、受け取れる場面もありました。こうしたカピキラーの自発的な行動も大切にしながら、その時々の様子を観察し、無理のない関わりを心がけてきました。カピキラーとは、もちろん言葉では会話することができません。朝、顔を合わせれば、「おはよ~今日は●●やな~」と話しかけたり、餌やりの時には、様子を見ながら声をかけることで、その時の表情や反応を見て、小さな変化にも気づくことが、健康管理にもつながっていました。

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顎下を撫でた後、上を向くカピキラー

 アニマルウェルフェアにおいては、生活の質を維持するために、カピキラー専用の屋外飼育エリアを整備し、時間帯を決めて、屋外と屋内を自由に行き来できるようにしました。初めて屋外エリアに出る際は、新しい場所なので、出る前にいろんなところの匂いをかぎまわったりしていましたが、次の日からは、スタスタと屋外エリアに出て行ったカピキラー。屋外エリアを開放する時間帯になると、扉を開ける前から、扉前で今か今かとスタンバイしていることも多く、扉があくと「待ってました!」と言わんばかりに目を輝かせて、屋外に向かっていきました。屋外では、気持ちよさそうにゴロンと横になって日光浴をしたり、とてもリラックスした様子を見せてくれていました。

アトアでは実現ができませんでしたが、カピキラーを群れでの飼育に戻せないか、他の群れへの合流ができるかどうか、他施設の協力のもと、引っ越しを検討していた最中のこと、20263月に普通に食べられていた餌をボロボロ落としたり、スムーズに飲み込めなかったりと、摂(せつ)餌(じ)(=餌を食べること)不良が見られるようになりました。

最期の日

 いつもと同じように「おはよう」と声をかけましたが、いつものように寄ってこず、じっとしたままのカピキラー。いつも以上に様子を気にしつつ掃除をしたあと、給(きゅう)餌(じ)(=餌を与えること)の最中に、カピキラーは突然倒れ、立ち上がることができなくなってしまいました。獣医師が検査を行いながら様々な処置を行い、他の飼育員も交代しながら、できることをやり続けました。私はサポートしたり、体を撫でてあげたりすることしかできませんでしたが、「なんとかしてあげたい」その思いは、あの場にいた全員が同じだったと思います。カピキラーもそれに応えようと、懸命に頑張っていましたが、22時37分、私たち飼育員に見守られながら、天国へと旅立ちました。

天国へ旅立ってしまったあの瞬間、私は、しばらくカピキラーのそばから動くことができませんでした。呼びかけても反応してくれないこと。大好きだった体を撫でてあげても、あのふわっと逆立つ毛が見られないこと。目の前の出来事が信じられず、涙が止まりませんでした。

次の日も、その次の日も「もしかしたら、いつものように待っていてくれるんじゃないか」と思いながら、行きました。でも、そこにはカピキラーの姿はなく、現実を受け止めるまでには、時間がかかりました。

今でも寂しい気持ちは変わりません。

それでも、カピキラーが教えてくれた、生きものと向き合いその個体にとって何が一番幸せなのかを考え続けることの大切さを、他の生きものたちにもつなげていきたいと思っています。

みなさまへ

最後になりましたが、これまでカピキラーを温かく見守り、愛してくださった皆様、本当にありがとうございました。カピキラーは旅立ちましたが、どうか、これからも「キョカピ」、「ジャーバラ」、そしてアトアの仲間たちを温かく見守っていただけますと幸いです。

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青草を食べるカピキラー

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3頭並んで餌を食べるカピバラたち

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ヒーターの下で暖をとるカピバラたち

3頭水中で、ハミハミしあうカピバラたち