新年あけましておめでとうございます。
現在3階のFOYERでは、2024年の干支の「辰」にちなんで干支展「辰にまつわる魚たち」を開催中です。
展示生物は、穂竜(ホリュウ)、ハマグリ、ニシキゴイを展示しています。
解説パネルでは紹介しきれなかったことをブログで紹介したいと思います。
穂竜は金魚の品種で、兵庫県の赤穂市で作出されました。
金と銀の体色、頭部には肉瘤(にくりゅう:こぶ状の突起)、飛び出した目、鱗の中心が盛り上がるパール鱗とたくさんの特徴を持つ愛嬌のある金魚です。
1994年に開催された第1回金魚日本一大会に出品され、全国で知らされる事となりました。飼育が難しいとされ、水族館での展示例も少ない品種ですので、この機会にぜひお楽しみください。
ハマグリと竜は一見関係なさそうですが、古代中国まで遡ると関係がみえてきます。古代中国では、蜃(しん)という生物が蜃気楼(しんきろう)をつくり出すと考えられており、竜の仲間と大きなハマグリに蜃という名前がついています。どちらの蜃も気を吐いて幻の楼閣(ろうかく:高層の立派な建物)を生じさせると言われていました。日本では、ハマグリの蜃の方が知られており、江戸時代に大ハマグリの蜃気楼図が流行し、多くの美術工芸品のデザインになっています。
水槽のレイアウトは鳥山石燕(とりやま せきえん)『今昔百鬼拾遺(こんじゃくひゃっきしゅうい)』の「蜃気楼」を参考にして、大ハマグリが蜃気楼をつくり出す様子をイメージしています。
鳥山石燕 画『百鬼夜行拾遺 3巻』[1],長野屋勘吉,文化2 [1805]. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2551539 (参照 2023-11-14)
ニシキゴイは中国の登龍門伝説にならって展示しています。竜になるのは金色の鯉だとか、急流を登り切った鯉が金色に輝いて竜になったともいわれています。
今回は金色のニシキゴイを展示しましたが、実は登龍門の魚は鯉ではなくチョウザメだったといわれています。実際に龍門にチョウザメが産卵のために集まるようです。いつからチョウザメが鯉に変わってしまったのかよくわかっていませんが、古代中国では大きな鯉のことをチョウザメとも呼んでいたようです。また、「鱘・鱏・鱣・鱧・鮪・鯉」の漢字全てがチョウザメを指すとされています。「鱘」以外の字はチョウザメ以外の意味もあり、鱏(えい)・鱣(たうなぎ)・鱧(はも)・鮪(まぐろ)を指します。これほど多くの漢字で表されていたので、中国ではチョウザメが身近な存在だったのかもしれません。
鯉に話をもどしますと、縁起の良い魚といわれており、金運・出世運・健康運・恋愛運の御利益があるとされ、年の始まりにはもってこいの魚ですね。皆様が今年の良いスタートをきれればと思います。
長々と紹介しまししたが、ぜひアトアで生物と解説パネルを合わせてお楽しみください。
展示期間は1月28日(日)までを予定していますが、生物の状態によって変更することがありますので、お早めにお越しくいただくことをオススメします。
それでは今年もアトアをどうぞよろしくお願いします!