この春、FOYERにオープンした『átoa LAB』(アトアラボ)は、生きものや本や標本に囲まれた贅沢な空間! 壁一面の書棚と一緒に写真を撮る方、じっくりと1冊の本を読みふける方、お子様に絵本を読み聞かせる方、標本や苔テラリウムを眺める方、顕微鏡を覗き込む方などなど、連日たくさんの方に楽しんでいただいています。
さて、そんなátoa LABでは、現在、『átoa LAB』オープニング特別企画 荒俣宏監修 アラマタ流「水族館学のススメ」を開催中です!
ここでしか見られないような貴重な資料が盛りだくさんのこの企画。開催期間の延長が決まったので、より多くの方にご覧いただけることになりました!おすすめがたくさんあるため、できるだけ多くの展示をご紹介したいところですが...ここではアトアスタッフおすすめの展示をご紹介します!!
美しい魚譜
まずご紹介したいのが、18世紀から19世紀に制作・発行された世界の魚譜(ぎょふ)。魚譜というのは、魚類の姿を描いた絵のことで、それを集めた本は、いわば魚類図鑑です。色彩豊かな手彩色の銅版画や石版画は、いつまでも眺めていたいほどの美しさ! さらに、その美しさと緻密さからは、当時の人々が魚を描いて記録し、それを伝えようとした熱意さえも感じます!!
そして、忘れてはいけないのが日本にいた熱意あるすばらしい画家!
20世紀前半、大阪や兵庫の水族館で海の魚に魅せられた大野麦風は、なんと潜水艦にまで乗って魚類の生態を観察し、錦絵を制作したそうです。
魚の動きをイキイキと描き出し、木版画でこれだけの色数を表現したのには脱帽! その実物を生で見ることができるなんて感激です!!
水族館の歴史
企画展名に「水族館学」とあるように、世界中から集められた「水族館」「アクアリウム」に関する貴重な資料をたくさん展示しています。
「アクアリウム」の生みの親と言われるフィリップ・ヘンリー・ゴッスの著書『AQUARIUM(アクアリウム)』の貴重な実物も! アクアリウムの誕生を身近に感じるようで、水族館のスタッフとしてはとても感慨深い、イチオシの展示です。
そして、ゴッスがアクアリウムを発明したのをきっかけに、ヨーロッパで水族館建設ブームが巻き起こります。
世界最初の公共水族館、ロンドン動物園の「フィッシュ・ハウス」を皮切りに、パリ万国博覧会では、巨大な人口洞窟を使った大規模な水族館がオープン。確かに洞窟の中であれば、海の底深くに潜った感覚を味わえそうですが、その発想力と実際に作り上げた技術力に驚きです!
タイムスリップできるなら、ぜひ19世紀ヨーロッパの水族館をこの目でみて体験したいですね!!
その後、日本にも水族館ブームが到来!明治15年に上野動物園にできた「うをのぞき(観魚室)」に始まり、明治から昭和初期にかけてさまざまな水族館ができたようです。特に関西に大きな水族館が多く、「堺水族館」はまるで竜宮城のようで「東洋一」と言われるほど人気だったとか...!
企画展では、ここでご紹介した資料以外にも、さまざまな水族館の資料を展示しています。お客様から「かわいい!」という声が聞こえてくる、レトロな水族館のチケットも一見の価値ありです!
◆荒俣宏先生
最後に、この企画展を監修された荒俣宏先生についてご紹介します。
作家であり博物学者でもある先生は、幼少期より海の生物をこよなく愛されていて、今でもご自身でダイビングされているんだとか...!
水族館への想いもとっても熱い方なんです。átoaに来館された際は、こちらがご案内するよりも、生きものや展示の方法について教えていただくことの方が多かったほど!
実は、ここでご紹介した展示品の数々はすべて荒俣先生の所蔵品。国内外から集めた貴重な資料をこの企画展のためにお貸しいただきました。企画展の打ち合わせ段階から、興味深いお話をたくさん聞かせていただき、展示したいものがたくさんある中で、厳選しての展示となりました。
水族館について、そして、生きものについて語り出したら止まらない、荒俣先生の想いがぎっちり詰まった展示です。荒俣先生の著書やおすすめの本、直筆サインも展示しています!
水族館の歴史を学ぶもよし、美しい魚譜を眺めるのもよし、水族館のかわいいチケットの写真を撮るのもよし。
ご来館いただいた方には、荒俣先生による解説書を無料配布しているので、展示を見て、解説を読んで、「水族館学」にどっぷり浸かっていただきたいと思います。
開催期間は5月26日(日)までですので、まだ見ていない方はぜひこの機会にご覧ください!