まだまだ残暑の続く中、皆様いかがお過ごしでしょうか?
アトアに暮らすフンボルトペンギンたちはというと、続々と換羽を迎えております。
換羽とは羽根が生え換わることで、アトアのフンボルトペンギンたちは毎年7月~9月にかけてこの換羽の時期を迎えます。なんと約10日~2週間ほどの短期間で全身に生えている羽根がすべて生え換わるんです!
まずペンギンの体には毛が生えていると思われている方も多いかもしれませんが、ペンギンは鳥の仲間ですので、体には小さな羽根がびっしりと生えています。
▼ペンギンの体表 | ▼ペンギンの羽根 |
この羽根は皮膚が直接水で濡れてしまわないように断熱材として機能しているのですが、1年経過した羽根はその防水の機能が衰えてくるので、年に1回、新しい羽根に生え変わるのです。
換羽中は冷たい水から守ってくれる羽根が生えそろっておらず断熱材としての機能が低いので、野生下では採食のために海へ出かけることはなくなります。換羽中の絶食に耐えるため、また換羽そのものにかなりのエネルギーを使うため換羽の前にはたくさんの餌を食べてエネルギーを蓄えます。
食欲が上がり、体がまるまると太ってくるので飼育員の間では「次はこの個体の換羽がきそうだな・・・」とある程度検討がつきます。
よく食べる個体ですと換羽前の1日に食べる餌の量が普段の倍くらいの1kg以上となる個体もいます!!
(フンボルトペンギンの体重は約4kgです。体重の約4分の1の量を食べてしまうのです!!)
▼まるまると太った体 | ▼フリッパー(翼)も太くなります |
この写真は「たけち」ですが、普段の体重は3.7~4kgくらいのところ今年の換羽直前(写真の頃)には5.4kgになっていました!!
いざ換羽がはじまると陸場でじーっと動かず、省エネモードになります。
いつもの容姿とは打って変わって、もこもこの姿になります。
▼もこもこの姿になったペンギン
よく羽根がボロボロ抜けていて病気なの?と心配されてしまうこともありますが、病気ではないのでご安心くださいね!
飼育下なので海に入らずとも飼育員が口元まで餌を持っていけば餌が得られるのですが、生理的に受け付けなくなるのか、口も一切開けず餌を食べないこともあります。
そうこうしているうちにどんどん古い羽根が抜けていきます。自分で羽繕いをして古い羽根が落ちていくこともあるのですが、どうしても自分の嘴の届かない頭のてっぺんや首回りは羽根が残りがちで、換羽中のペンギンの姿は少々面白おかしくなることも。
こんな風に独特で可愛らしい姿を見せてくれる換羽ですが、実は飼育員や獣医さんが健康管理にいつもに増してシビアになる時期でもあるのです。
アトアでは、換羽する時期は7~9月の暑さがかなり厳しい時期・・・
私たちでもこの暑さのせいで体調を崩してしまうこともありますよね。
ペンギンたちも同じで、あまりに暑いと体調を崩してしまうことや、かなりのエネルギーを使う換羽が重なることでさらに拍車をかけるように体調不良になってしまうこともあります。
換羽の前にたくさんの餌を食べるとお話もしましたが、一気に食べる量を増やしすぎてしまうとお腹を壊したりすることも考えられます。
毎年無事に換羽を終えられるように、陰では飼育員や獣医さんがかなりの気を配っているのです。
まだ今年の換羽が終わっていない個体もいますので、引き続きペンギンたちの健康に注意しながら1年に1度の換羽シーズンを楽しみたいと思います!
▼換羽直後の姿
換羽の様子は、こちらもぜひチェックしてみてね!⇩