みなさまこんにちは。
今日は写真の生きものについてお話しします。
その名も「ハダカデバネズミ」
裸で出っ歯のネズミで「ハダカデバネズミ」と名付けられましたが、正確には裸ではありません。
よーく見ると体中に感覚毛と呼ばれる毛が生えています。
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また、出っ歯は出っ歯なのですが、私たちが思っている出っ歯とはまた少し違います。
なんと、歯が皮膚を突き破って生えています。
見れば見るほど不思議な生きもの。
今日はよく聞かれるお客さまからの疑問にお答えします。
まず、アトアの水槽の説明には、
「集団でトンネルに暮らし、女王ネズミだけが繁殖する真社会性。ガンや老化に耐性があり、最長30年も生きる。生存期間の8割は老化の兆候を示さない健康長寿動物。」
と書かれています。
まずはこの解説からします。
女王ネズミだけが繁殖する真社会性とは?
真社会性とは、
・二世代以上が同居している
・繁殖個体が限定されている
・親以外の個体による子育て
の3つの条件を満たす社会のことを指し、身近な生き物としてアリやハチなどの昆虫の仲間などがいます。女王アリや働きアリなど役割分担して生活しています。
ハダカデバネズミも、アリやハチのように集団の中で役割分担して生活しています。女王、王、兵隊、雑用係と分かれていて、繁殖は女王と王だけが行います。兵隊は普段はごろごろしていますが、敵が侵入してきた際に、身を挺して仲間を守ります。雑用係の仕事は、食料の調達、巣の拡張、子育てなど多岐にわたります。子育ての際には、自分がヒーター替わりとなり子どもを温める布団係なんてものも出現します。
この真社会性は、昆虫でよく知られていますが、哺乳類では、ハダカデバネズミとダマラランドデバネズミの2種だけです。
がんや老化に耐性がある
ハダカデバネズミはがんになりにくいといわれており、さまざまな研究がされています。発がん性物質による強い発がん誘導を行っても全くがん化しないことが明らかになっています。
最長30年生きる
一般的には小さい動物よりも大きい動物の方が寿命は長い傾向にあります。同じネズミの仲間で最も大きいカピバラの寿命が野生では平均約6年(最長10年)といわれているのに比べると、この大きさで30年はとても長生きだといえます。ちなみに世界最小のネズミの仲間アフリカチビネズミの寿命は約2年といわれています。
生存期間の8割は老化の兆候を示さない
生存期間の8割は、活動量や繁殖能力、心臓拡張機能、血管能力の低下などがみられず、加齢に伴う死亡率の上昇も認められないといわれています。
たった75字の中にこんなにもたくさんの情報が詰め込まれています。
ここからはよく耳にする質問です。
その①赤ちゃん?
いいえ、これで大人です。
その②目は見えているの?
もともと光が当たらない地中で生活するので、目は退化してしまってほとんど見えていません。光を感じる程度だといわれています。
その③なんでこんなライトの色なの?
本来、光が当たらないところで生活しているハダカデバネズミの環境に合わせ、飼育開始当初は、光を感じにくい赤色のライトで展示していました。しかし、赤色だと暗くて生きものが見えづらいということもあり、少しずつ明るくしてみたところ、特に行動に変化がでなかったので、現在はピンクっぽい少し怪しげなライトの色になっています。
その④女王はどれ?
正確には女王がどの個体かはわかりません。現在アトアでは7匹のハダカデバネズミを飼育しています。飼育開始当初はほとんど体の大きさが一緒だった7匹ですが、少しずつ体格差がでてきました。最近になって明らかに1匹体だけ体が大きな個体がいるので、それを女王かなと思ってみてはいるのですが、、、確実ではありません。他にもおそらく雑用係かなと思う個体がいたりと、まだまだ観察中です。
その⑤写真が撮りづらい!
この理由、実はちゃんとあるのです。ライトが少し暗いということももちろんありますが、実はこの水槽には特殊なフィルムを貼っています。生きものたちに極力刺激を与えないよう、中からは外の様子が見えないマジックフィルムを貼っているのです。
その⑥あ!これ!見たやつ!
はい。そうです。アトアのミュージアムショップではとってもリアルなハダカデバネズミのスイートポテトを販売しています。お土産にいかがでしょうか?
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さて、ハダカデバネズミに少しは興味を持っていただけたでしょうか?
今日ご紹介したのは、ハダカデバネズミの魅力のたった一部にすぎません。
まだまだ面白い特徴がたくさんあります。
アトアのYoutubeでもこの奇妙な生きものについて取り上げているので、気になった方はぜひ見てみてくださいね!