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お掃除係の裏事情

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みなさん、こんにちは!

以前にも紹介しました(前回のブログはこちら)が、アトアでは水槽内きれいにしてもらうために様々な生きものたちお掃除係)が各水槽へ出勤しています。
今回は、海水のお掃除係の生きものたちを紹介します。
海水のお掃除係にも、それぞれに得意なことが違うので、目的に合わせて出勤してもらっています。

海水お掃除係.jpg

①クボガイの仲間

アクリルや岩などに繁茂している藻類をきれいしてもらいたい場合は、「クボガイの仲間」が適任です!

クボガイの仲間.jpg 裏側の軟体部.jpg

クボガイの仲間は、殻の大きさが5cmくらいの小型巻貝ですが、堅いものから柔らかいものまで、たいていの藻類は食べてくれるうえに、垂直の壁もすいすい登って縦横無尽に働いてくれるため、頼れるお掃除係です。
裏側から見てみると、体の軟体部口や、移動するための腹足などがよく見えます。写真の右側に見える小さな口(写真の〇の部分)があり、やすり状ザラザラとした歯舌といわれる器官が備わっています。この歯舌で藻類を削るようにして食べます。
抜群働きぶりを見せてくれますが、砂の上を移動することが苦手で、砂の上に生える藻類対応できません。

②マガキガイ

つぎは、そんな砂の上の藻類をきれいにしてくれる「マガキガイ」を紹介します。

マガキガイ.jpgマガキガイは、象の鼻のように長い口や殻から覗く眼が特徴的な巻貝です。
マガキガイの眼は、まさしく目玉のような眼が飛び出してとても分かりやすいですが、実は一部の貝の仲間には備わっており、周囲の明暗を感じ取ることができます。
マガキガイとヒメクボガイ.jpg他にも、マガキガイはフタの形状が変わっていて、多くの巻貝は、ヒメクボガイのような丸いフタで、殻に身を隠したときに入り口をぴったりと閉じますが、マガキガイはギザギザのナイフのような形をしています。
殻にこもることには使用せずに、移動する際に地面を蹴って進んだり、ひっくり返ったときに起き上がったりするために使用します。
よくナイフのようなフタを振り回すことがあるため、高知県などでは「チャンバラガイ」と呼ばれ、食用として好まれています。

③フチドリカワハギ

最後に紹介するのは、「フチドリカワハギ」です。

フチドリカワハギ.jpgアトアでは、フチドリカワハギなどカワハギの仲間も、お掃除係として活躍してもらっています。
カワハギの仲間は、種類によって草食か肉食に大別されますさらに肉食の中にはゴカイなどの環形動物を好むものやサンゴなどの刺胞動物を好むものがいるなど、食性が大きく異なります。
では、水槽内では何を掃除してもらいたいかというと主にイソギンチャクです。

びっしり付いたイソギンチャク.jpgイソギンチャクは、種類によっては、無性生殖といって自身のクローンを作って増えることができます。
それを放っておくと、壁面やレイアウトの岩、砂の上など、いたるところに付着して、やがて水槽全体を覆ってしまいます。見た目も悪い上に、魚にあげた餌も食べてしまう厄介者です。
いちど増え始めてしまうと、正直なところ、お手上げ状態になることもあります。
そんな状況にならないためにも、イソギンチャクを好んで食べるフチドリカワハギなどに食べてもらい、増殖を抑制してもらっています。
フチドリカワハギが入っている水槽を見かけましたら、イソギンチャクに困っていて、飼育員はお手上げ状態なのかもしれません。ぜひ両手を挙げた飼育員をご想像しながら頼もしいワハギを観察してやってください。

また、各水槽でお掃除係の生きもの異なりますので、なぜこのお掃除係が出勤しているのかその背景もご想像しつつ、楽しんでいただければと思います。