皆さんは「サンゴ」といえば、透き通った海に広がる色とりどりのサンゴ礁を容易に思い浮かべることができるかと思います。
しかし、サンゴとは一体何か、と問われると答えるのは難しいのではないでしょうか。
アトアでも様々なサンゴを展示しています。
どれもユニークな見た目をしていますが、植物のような見た目をしていたり、蛍光色に光ったりしています。
実は、サンゴはクラゲやイソギンチャクと同じ刺胞動物門に分類される、れっきとした動物です。
サンゴ礁を形成するサンゴは造礁サンゴと呼ばれ、からだに褐虫藻という植物プランクトンを住まわせています。自らの触手で微生物を捕らえて食べるほかに、褐虫藻が光合成で得た栄養をエネルギー源としてからだの成長に役立てています。
この褐虫藻がサンゴに住み着く過程に、サンゴが放つ綺麗な光が関係しています。
多くの造礁サンゴは紫外線を照射すると緑色の蛍光色を発する緑色蛍光タンパク質(GFP)と呼ばれる物質を持っています。
このGFPは日本人研究者の下村脩氏がオワンクラゲから発見し、ノーベル賞を受賞したことで知られており、任意の細胞を光らせて目印にする用途で今や科学研究に欠かせない存在です。
造礁サンゴはこのGFPによって発する光で海中の褐虫藻を引き寄せていることが近年の研究で明らかになりました。
褐虫藻は特定の波長の光に引き寄せられたり、逆に離れたりする性質を持っており、GFPによる緑色の蛍光色が造礁サンゴに褐虫藻を引き寄せているのです。
サンゴはその複雑な構造がいきものたちの住処になるなど、自然界において重要な役割を果たしていますが、まだまだ分かっていないことが多く、日々研究が進められています。
アトアに来館された際には、ぜひサンゴの美しさや不思議な形にも注目してみてください!